以下に、「海外FXにおけるゴールド(XAUUSD)のスワップ」について、お届けします。
スワップの仕組みから、実際の金利水準、業者比較、戦略的な使い方、税務上の注意点、さらには“マイナススワップで損をしない”方法まで、実務・戦略の両視点から徹底解説します。
【完全版】海外FXにおけるゴールド(XAUUSD)のスワップ徹底解説
—仕組み・水準・業者差・戦略・落とし穴—
目次
第1章:ゴールドスワップとは?基本の仕組み
スワップ(Swap)とは、**ポジションを翌日に持ち越す際に発生する「金利差調整額」**のことです。
ゴールド(XAUUSD)をFX業者で取引する際も、ポジションを1日以上保有すると「スワップポイント」が発生します。
✅ ゴールド特有のポイント
- 通貨ではなく「コモディティ」である
- 実際の金利というよりは「資金調達コストの差」
- 米ドルベースで計算されることがほとんど
第2章:スワップの仕組みをゴールドに当てはめる
一般的なFXでは、たとえば「高金利通貨を買って、低金利通貨を売る」ことでスワップを得られます。
しかしゴールドは金利を持たない「現物資産」なので、その代わりに「保有コスト(保管料・保険料など)」と「通貨の金利差」を基にスワップが設定されます。
✅ ゴールド買い(Buy)の場合:
- 金には利息がつかない
- USD建てで金を買うと、USDを借りて金を持つイメージ → 基本はマイナススワップ
✅ ゴールド売り(Sell)の場合:
- 金を売る=USDを保有する形になるため、金利差によってプラススワップになることも
第3章:実際のスワップ水準は?(Buy/Sell)
業者や相場状況、金利情勢によりスワップは日々変動しますが、概ね以下のような傾向があります。
業者名 | 買い(Buy)スワップ | 売り(Sell)スワップ | 備考 |
---|---|---|---|
XM | -5〜-12 USD/lot | +1〜+3 USD/lot | 毎日変動/水曜日3倍 |
Titan FX | -3〜-9 USD/lot | +0〜+4 USD/lot | ECN口座も同様 |
Exness | -15〜-30 USD/lot | +3〜+6 USD/lot | 変動が激しい/0日もあり |
Axiory | -5〜-10 USD/lot | +1〜+3 USD/lot | スプレッドは狭め |
HFM | -6〜-12 USD/lot | +2〜+4 USD/lot | スワップは比較的良心的 |
※1 lot=100オンス(= 約1万5,000ドル分の取引)
第4章:スワップ発生日と「水曜3倍ルール」
✅ スワップ付与のタイミング:
- 毎営業日「ニューヨーククローズ(日本時間午前7時)」時点でポジション保有していれば発生
- 水曜朝のロールオーバーは“3倍スワップ”が発生(週末分を含めるため)
✅ 実務上の注意点:
- 火曜の深夜までに決済しておくと“3倍課税”を回避できる
- スキャル・デイトレではスワップは無関係だが、スイングや長期保有では要注意
第5章:ゴールドのスワップが特に重くなるケース
1. 米国の利上げ局面
→ USD金利が高くなることで、ゴールドを買う=ドルを借りる形になり、スワップが重くなる。
2. 戦争・経済危機などの金需要急騰時
→ 金価格の高騰により、1 lotあたりの評価額が上昇 → それに比例してスワップ額も増加
3. 業者がヘッジ先でのリスクを反映
→ 市場のボラティリティが激しい場合、スワップが異常拡大することもある(例:1日で-30USD)
第6章:戦略的にスワップを活かす方法
✅ ゴールド売り(Sell)スワップでの収益化
- 高金利通貨売りの代替として、スワップ益+値下がり益の両取り戦略
- 例:金利上昇局面でSellエントリー → 含み益+スワップ益
✅ スワップヘッジ戦略
- スワップが大きすぎる場合、同一ポジションを別業者で逆方向に持つ
- 一方は値動きを狙い、一方はスワップ損益調整に利用
✅ EA(自動売買)と組み合わせて平滑化
- EA設定にて「水曜前に決済するルール」を組み込む
- 長期保有戦略では“スワップ込みの期待値”で検証が必須
第7章:ゴールドスワップを軽視してはいけない理由
- ✅ 10 lot保有 × -10USD/日 = 1日で-100USD、月で-3000USD
- ✅ 知らずに長期保有して、利益がスワップで帳消しになる例も多数
- ✅ プラススワップで稼げると思っても、価格が逆行すれば無意味
特に初心者がやりがちな失敗:
- 含み益が出たので放置 → 翌週にはスワップで逆転
- 「Sellのスワップがプラスだから」だけで入る → 急騰して損切り
第8章:スワップの非公開・不透明な業者に注意
一部の海外FX業者では、スワップポイントを明示していない、もしくは突然変動させる事例があります。
✅ 注意すべき業者の特徴
- サイト上にスワップ一覧が掲載されていない
- MT4/MT5での表示が不安定 or 一部口座で非表示
- 過去にスワップ大改悪(例:GEMFOREXなど)
対策:
→ 口座開設後、必ずMT4で「仕様」からスワップ数値を確認
→ 1 lot保有時のコストを計算式でシミュレーション
第9章:税務上のスワップの取り扱い
✅ 日本の税法上
- スワップも「雑所得」に分類(海外FXは申告分離課税ではない)
- スワップ収入のみでも20万円を超えれば確定申告が必要(会社員の場合)
✅ 経費計上のヒント
- サーバー代、VPS費、EA費用などはスワップ収益から控除可能
- スワップでの「損」も損益通算に加味される
第10章:まとめ
視点 | 内容 |
---|---|
スワップの性質 | ゴールドは「保有コスト」としてスワップが基本マイナス |
売りポジションの有利性 | Sell時はプラススワップになることもあり、戦略的に活用可能 |
スワップの計算基準 | 通貨ペアと異なり、資産価値や米ドル金利の影響が大きい |
注意点 | 水曜3倍、スプレッドと合わせた総合コスト、業者ごとの差異 |
税務面 | スワップも課税対象。確定申告での正確な計上が必要 |